ゴミ屋敷を訪問するヘルパーは、単にごみの山を目の当たりにするだけでなく、その中で生活する住人の「心の声」に触れる機会があります。言葉にならない、あるいは言葉にできない利用者の心の奥底にある感情や思考を理解しようと努めることが、真の支援へとつながります。ヘルパーが感じる利用者の心の声として、まず「羞恥心と諦め」が挙げられます。多くの利用者は、自分の家がゴミ屋敷であることを恥ずかしく思い、外部の目を避ける傾向があります。ヘルパーが訪問することで、その羞恥心が刺激され、頑なに片付けを拒否したり、攻撃的な態度を取ったりすることもあります。また、長年にわたるごみの堆積により、「もうどうにもならない」という諦めの感情を抱いているケースも少なくありません。次に、「過去への執着と喪失感」です。特に高齢の利用者にとって、一つ一つの物が過去の思い出や大切な人とのつながりを象徴していることがあります。着古した服、古い手紙、壊れた家具など、一見ゴミに見える物も、彼らにとっては「かけがえのない宝物」なのです。それらを捨てることは、過去の自分や失われた人間関係を否定されるように感じられ、深い喪失感を伴うため、手放すことが極めて困難になります。ヘルパーは、これらの物の背景にある物語に耳を傾けることで、利用者の心の奥底に触れることができます。さらに、「孤独感と不安」も利用者の心の声として強く響きます。社会とのつながりが希薄になり、孤立した生活を送る中で、自分の存在価値を見失い、物をため込むことで心の隙間を埋めようとする傾向があります。ゴミ屋敷の中で、物が自分を守ってくれる、安心感を与えてくれると感じている利用者もいます。ヘルパーとの会話や信頼関係の構築は、この孤独感を和らげ、安心感を与えることに繋がります。また、認知症や精神疾患の影響により、「判断能力の低下」や「妄想」を抱えている利用者の心の声は、さらに複雑です。彼らは、自分がごみをため込んでいるという認識がなく、ヘルパーの片付けの提案を「自分の大切な物を盗もうとしている」と誤解することもあります。ヘルパーは、このような状況において、利用者の心の声に寄り添い、決して否定せず、ゆっくりと信頼関係を築きながら、専門家との連携を図ることが求められます。