「ゴミ屋敷が増えている」という現状の中で、最も身近で深刻な苦悩を抱えているのは、ゴミ屋敷の住人の家族や親族、あるいはそれに準ずる関係者たちです。彼らは、外部からは見えにくい、あるいは理解されにくい複雑な感情と困難に直面しています。まず、最も大きな苦悩は「本人とのコミュニケーションの難しさ」です。多くのゴミ屋敷の住人は、自分の状態を問題と認識していないか、あるいは問題を認識していても、羞恥心や頑ななプライドから、家族の介入を拒否する傾向にあります。いくら説得しても聞き入れられず、逆に反発されたり、関係がこじれてしまったりすることも少なくありません。長年の間に築かれた関係性が、ゴミ屋敷問題によってさらに悪化するケースも多々あります。次に「精神的・経済的な負担」です。家族は、ゴミ屋敷の惨状を目の当たりにし、異臭や害虫、火災のリスクに常に晒されることで、深い精神的ストレスを抱えます。また、片付けの費用や、本人の生活費、医療費など、経済的な負担も無視できません。特に、遠方に住む家族にとっては、頻繁な訪問や片付けの手配など、時間的・労力的な負担も大きくなります。さらに「社会からの孤立感と罪悪感」も深刻です。ゴミ屋敷の存在は、近隣住民からの苦情や白い目を引き寄せます。家族は、その責任を感じ、社会から孤立してしまうことがあります。また、なぜ自分たちの家族がこのような状態になってしまったのか、もっと早く気づいていれば、もっと何かできたのではないか、という深い罪悪感に苛まれることも少なくありません。しかし、多くの場合、家族もまた、ゴミ屋敷化の背景にある複雑な要因(精神疾患、認知症、孤立など)によって、どのように対応すべきか途方に暮れているのが実情です。行政や専門機関に相談しても、本人の意思がなければ介入が難しいという壁にぶつかり、無力感を感じることもあります。ゴミ屋敷問題は、家族の絆を試すだけでなく、家族自身も心身ともに疲弊させてしまう、非常に困難な問題なのです。